外国人を雇用する際に必ず押さえておくべき3つのポイント
日本人の労働力が減少する現在、優秀な外国人人材を確保し、世界へ向けた経営戦略を描くことは、大企業のみではなく、中小企業においても生き残るためにとても重要なポイントとなります。しかし、外国人を雇用する際には、日本人とは異なるポイントがあり、日本人の雇用以上に入念に準備をしなくては、大きな損失を受けてしまう可能性もあります。今回は外国人を雇用する際に必ず押さえておくべきポイントについて解説します。
ポイント1 雇用契約及び在留資格取得が必要
日本人を雇用される際には、雇用契約を締結し、（ハローワーク等に対する）就労に際しての必要書類手続きを完了されれば、即日就労されることも可能です。
しかし、外国人の場合には、雇用契約及び就労に際しての必要書類手続きのみでは足りず、在留資格の取得後でなくては、日本で就労することができません。
就労系の在留資格取得には、個々の案件によりますが、申請から平均2〜3ヶ月、審査期間が長期にわたる場合には、申請から半年程度かかることもあります。また、在留資格申請の必須書類として、雇用契約書の写しの提出が求められています。
つまり、雇用される企業と外国人個人は雇用契約を締結されていることが大前提となり、かつ、2ヶ月以上審査結果を待たなくてはなりません。
在留資格は100%許可されるという性質のものではないため、2ヶ月以上の審査期間を待っていたにも関わらず、不許可となることもあります。雇用契約を締結し、長期間待ったにも関わらず就労ができないとなると、企業側と大きなトラブルに発展してしまう可能性もあるのです。
在留資格の許可不許可は入管の判断となるため、雇用される企業には責任がないとも考えられますが、雇用される企業は雇用契約締結時に、上記内容を外国人の方にご説明いただき、最悪の事態もあるということを明確に通知されておくことが賢明です。
また、雇用契約書におきましても、「本雇用契約書は、在留資格が不許可となった場合には無効（最初から契約が無かったことにすること）とする」などの条文を明記され、リスクヘッジをしておくことが重要となります。
外国人の方との雇用契約書は、社会保険労務や行政書士等に相談の上、作成されておくこととよいでしょう。
ポイント2 一定の学歴及び経験が必要
日本で就労をされる外国人の方には一定の学歴が求められています。
取得される在留資格により細部が異なりますが、原則的には、大学または短期大学卒（国を問わず）または、専門学校卒（日本の専門学校において専門士を取得している場合）であることが求められています。
そのため、原則的には高卒では日本での就労ができないことになります。しかし、高卒であっても、これから就業される業種において10年以上の経験がある場合には、要件を満たすことができます。
つまり、外国人の方を雇用される際には、「大学または短期大学卒（国を問わず）または、専門学校卒（日本の専門学校において専門士を取得している場合）」「これから就業される業種において10年以上の経験」のいずれかに適合されるかを、まずはご確認いただくことが重要となります。
上記の要件を満たされていない場合には、高いスキルや素晴らしい人柄があっても、就労系の在留資格の取得は難しくなるため、面接や給与面等の具体的な話をする前での確認しておきましょう。
ポイント3 在留資格を取得しても、職種を問わず自由に就労ができるわけではない
在留資格は、就労する業界及び職種、期間が細かく設定されています。
そのため、日本人のように自由に転職をされたり（転職をされる際には、在留資格の変更手続きが必要となる場合があります）、在留資格申請時において申請をした担当業務内容以外の業務は、原則的に行うことができません。
つまり、日本人と異なり社内において担当業務を自由に変更するということは、原則的にできないことを認識しておくことが重要です。
この点、在留資格を変更されれば、担当業務を変更することが可能ですが、2つ目のポイントの通り、担当業務に対する学歴や経験を有している必要があるため、当該外国人の方が要件を満たすことができないことも多いため注意が必要です。
まとめ
外国人の方を雇用される際には、在留資格に関する一定の知識を有していなくては、当該外国人の方はもちろん、雇用される企業にとっても大きな損失を与えてしまう可能性があります。
そのため、入管法に精通した、行政書士と顧問契約を結ばれたり、在留資格取得に関してのご依頼を行政書士等にされることは、多くの外国人を雇用される企業にとっては、リスクを軽減できる重要なポイントとなります。