在留資格認定証明書交付申請とは、海外に滞在をしている外国人の方が日本での滞在を希望される際に行う申請です。つまり、新規に在留資格を取得されたい方の申請です(以前に在留資格を有して日本に滞在をしていたが、現在は有効期限が切れており海外に滞在されている方も含む)。
在留資格に関する手続きは、大きく分けて「在留資格認定証明書交付申請」「更新申請」「変更申請」があります。このうち、「更新申請」「変更申請」は、既に在留資格の許可を受けている方が行う手続きであるため、日本での生活において納税義務を果たし、法に反する行動を行っていない場合には、高い確率で許可されます。
しかし、「在留資格認定証明書交付申請」は、新規に在留資格を取得する手続きであり、入管(出入国在留管理局)が許可を与えてよいかどうかについて十分に確認するために、「更新申請」「変更申請」と比べて審査期間も長く、申請書類も多くなります。
今回は、在留資格認定証明書交付申請の際のポイントを在留資格申請の専門家である申請取次行政書士が解説します。
当然のことですが、各在留資格の要件を満たされているかを十分に確認する必要があります。
就労系の在留資格であれば学歴及び経験、経営系の在留資格であれば資力要件などが規定されているため、まずはご自身の希望される在留資格の要件の確認が必要不可欠です。
要件を満たされていない場合には、いくら申請書類を作りこんだとしても、在留資格を取得することは難しいでしょう。
入管側は虚偽の申請を厳しく審査しているため、どのような内容であっても事実を申請するということが重要です。
例えば、犯罪歴がある方が在留資格認定証明書交付申請をされる際には、心理的に犯罪歴を隠して申請をされたいと考える方も少なくないかと思われます。
この点、在留資格認定証明書交付申請書には、犯罪歴を記載する箇所があり、犯罪歴があるにもかかわらず、事実と反して申請を行うことは虚偽の申請となります。そのため、在留資格認定証明書交付申請に不利に働くと考えられる事項であっても、事実を申請するという認識が重要です。
外国での犯罪歴を記載しなかったとしても、見つからないのではないか、と思われるかもしれませんが、そうではありません。在留資格認定証明書交付申請書に犯罪歴なしと記載をして申請をしても、入管は犯罪歴をくまなく調べ上げるため、事実の確認が取られてしまいます。
上記の場合におきましては、「犯罪歴がある」「虚偽の申請をした」という状況が明確となってしまうため、申請の許可は難しい状況となってしまいます。
そのため、最初から事実を申請することが重要となります。
犯罪歴に限らず、ご自身にとって不利に働くような事実がある場合には、「説明書」という形で、ご状況をご説明されるご書面を作成されることをお勧めします。
「事実確認書」「意見書」など、表題はどのようなものでも問題ありませんが、「申請に対してこのような事実がありますが、詳細はこのような内容となります」ということをご自身の言葉で明確にご説明されることが重要です。
また、過去に法令違反等があった場合には、反省をしていることや今後の取り決めについてなど、十分な反省と展望があることも併せて記載をされるとよいでしょう。
法令に従って、在留資格は審査されますが、最終的に判断するのは人間なので、真摯な態度が伝わるような文章を心がけることが重要です。
前述の通り、在留資格認定証明書交付申請では、1からご自身を審査されることになります。
また、在留資格認定証明書交付申請は、原則的に面接等がなく、完全書類審査となります。
つまり、学歴、経歴、資格、犯罪歴などは、明確に入管側が把握できますが、申請人の人となりは全くわからないとも考えられます。
そのため、実務上におきましては、就労系の在留資格を申請される方はこれまでの就労先での同僚との写真、日本人の配偶者として申請をされる方は当該配偶者とのこれまでのデートプランなどを提出することが重要です。
上記の書類は必須書類ではございませんが、前述の通り、最終的に許可不許可を判断するのは人間です。
少しでも、申請人のことを知ってもらうために、提出することに損はないでしょう。
在留資格認定証明書交付申請において、どのような情報が申請人に有利に働くか、不利に働くかという判断は、犯罪歴等の明確でないものでない限り、なかなか難しいかもしれません。また、説明書にはどのような内容を記載されればよいかなど、実際の申請の際には、頭を悩ませることが多々あります。
この点、在留資格は個々の申請毎に審査をすることとなっているため、状況に併せて適切な添付書類及び説明書の文章を考えなくてはなりません。
ご自身で考えるのが難しいような場合には、ノウハウを持った行政書士等の在留資格の専門家に相談するのも一つでしょう。