在留資格の基礎知識
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在留資格「経営・管理」 上陸許可基準について

2020.7.11 在留資格の基礎知識

「経営・管理」の在留資格は、事業を経営または管理する場合において、取得する在留資格となります。

「経営・管理」の在留資格は、他の就労系の在留資格と比べて取得の難易度が高いとされており、その理由として、こちらの記事にてご説明する上陸許可基準が大きく関わってきます。

「経営・管理」の在留資格を取得するためには、「本邦において事業の経営を行うこと(管理に従事すること)」「実質的に事業に従事すること」「事業の適正性、安定性及び継続性があること」の在留資格該当性を満たすことを前提とし、上陸許可基準にも適合していなくてはなりません。

「経営・管理」の在留資格の審査は、事業を経営または管理する=「経営・管理」の在留資格許可という画一的な審査ではないため、申請書類ご準備前の段階から「在留資格該当性」及び「上陸許可基準」を満たしていることを十分に確認されることが必要となります。

 

 

「経営管理」の在留資格の上陸許可基準は3つある

「経営管理」の在留資格の上陸許可基準は、大きく3つの基準に分けられています。

いずれかひとつではなく、3つ全ての基準を満たすことが必要です。そのため、申請前において全ての基準を満たしていない場合には、申請を断念されること、または修正が可能な場合には、まずは上陸許可基準を満たすための準備をすることが必要です。

 

 

1つ目の上陸許可基準

当然のことながら、経営または管理する事業所が日本国内に存在していることが求められます。

また、事業所は事業用、事務所用であることを、賃貸借契約書等を提出して、証明することが必要となります。

「経営・管理」の在留資格は、事業の継続性が求められているため、月契約等のテナント、コンテナーなどの簡易的に事務所として使用している場合には、上陸許可基準に適合しないと判断されてしまう可能性もございますので、注意が必要です。

また、新規事業の場合にも、上記と同じですが、事務所が日本国内にあり、月契約等のテナント、コンテナー等でないことを、賃貸借契約等の書類を提出し、明確する必要があります。

つまり、新規事業の場合には、事務所を賃借された上での申請となりますため、事務所費用のご負担は大きくなる点は、申請前に確認いただく必要あります。

 

 

2つ目の上陸許可基準

下記、いずれかの基準を満たす必要があります。

① 事務所経営または管理する者以外に、2人以上の常勤の職員がいること。

② 事業の資本金または出資額が5百万円以上であること。

③ ①又は②に準ずると認められること。

つまり、一定数の人が関わる事業、または十分な資力を有する事業基盤であるかを証明し、事業が一定の規模であることを説明する必要があります。

仮に、「2人以上の常勤の職員がいない場合」「資本金または出資額が5百万円以上ない場合」においても、同一の事業基盤があると認められれば、「経営・管理」の在留資格が許可される可能性もありますので、基準を満たしていない場合には、別途「説明書」等を作成し、事業基盤を明確に説明することが審査において重要となります。

 

 

3つ目の上陸許可基準

申請人において、事業の経営または管理について3年以上の経験を有している必要があります。

経営者及び管理者の能力次第では、すぐに事業が傾いてしまうことも考えられます。「経営・管理」の在留資格が許可される大前提として、「事業の適正性、安定性及び継続性があること」が求められるため、これに付随し、申請者の経験も求められます。

この点、大学院において経営または管理に係る科目を専攻した期間を含むとされており、実務経験がない場合でも、学歴で基準を満たせる場合もあります。

また、併せて日本人と同等額の報酬を受ける必要があります。つまり、同一の業務を遂行しているにもかかわらず、日本人の経営者は年収1,000万円、外国人の経営者は年収300万円など、日本人でないことのみを理由として報酬額に差異を設けることはできません。

 

 

まとめ

在留資格は、行政書士などの専門家に依頼しなくても、ご本人または関係者(法人の職員等)にて申請が可能です。

しかし、「経営・管理」の在留資格に関しましては、(特に新規事業の場合には)行政書士等の在留資格の専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。

理由は、上記の通り、細かな「在留資格該当性」及び「上陸許可基準」が設けられていることと併せて、申請時のリスクが高いことが挙げられます。

「経営・管理」の在留資格は、状況により異なりますが、平均的に他の就労系の在留資格と比べて審査期間が長いため、新規事業において、仮に事務所を賃借し、数ヶ月間在留資格の結果がでないということも考えられます。

費用面の負担も大きくなりますし、適切な申請を行わなかった場合は、不許可となる可能性もあります。そのため、申請に関するリスクを少しでも軽減できるよう、申請前に行政書士などの専門家へのご依頼を検討するとよいでしょう。